いまさらやるrichmanbtc式MLBOT【第1回】そもそも何だったのか?ATR×0.5戦略の正体
2021年、仮想通貨bot界に革命が起きた...はずだった
「日給300万円のSS級トレーダー」
この衝撃的なタイトルで一世を風靡したrichmanbtcさんの機械学習botチュートリアル。当時、仮想通貨botterの世界はこのチュートリアルで溢れかえった。
だれもがrichmanbtcさんのコードをコピペし、自分のbotを動かし始めた。「これで俺も億り人だ!」と夢見た人も多かったはず。
でも...ちょっと待ってほしい。
あのチュートリアル、そもそも何をやっていたのか、本当に理解していた人はどれくらいいただろうか?
😤 当時誰も言わなかった疑問
仮想通貨のシステムトレードといえば、代表的な戦略がある:
- チャネルブレイクアウト(タートルズ流)
- ドンチャンブレイクアウト
- トレンドフォロー
これらは1980年代から実績のある、伝統的なトレード戦略だ。
ところがrichmanbtcチュートリアルの基本戦略は、これらとは真逆だった。
ATR×0.5の位置に指値を置く逆張り戦略。
「終値からATR×0.5下に買い指値、ATR×0.5上に売り指値」
...これ、どこから来た戦略なんだ?
当時、この疑問を公に投げかけた人を見たことがない。みんな「richmanbtcさんが言うんだから正しいはず」と盲信していた。
📊 ATR×0.5戦略の正体を解剖する
ロジックの詳細
# richmanbtcチュートリアルの核心部分limit_price_dist = df['ATR'] * 0.5df['buy_price'] = df['close'] - limit_price_dist # 終値から下に指値df['sell_price'] = df['close'] + limit_price_dist # 終値から上に指値これが意味するのは:
- 価格が下がったら買う(逆張り)
- 価格が上がったら売る(逆張り)
- ATRでボラティリティに応じて距離を調整
つまり、「価格は平均に回帰する」という前提の戦略だ。
これは「マーケットメイク」戦略
実はこれ、機関投資家やマーケットメイカーが使う古典的な戦略に近い。
- スプレッドの両側に注文を置く
- 価格の振れで利鞘を取る
- ボラティリティ(ATR)でリスク調整
問題は、これが個人投資家に適しているかどうかだ。
💰 驚愕のバックテスト結果
チュートリアルのバックテストを見ると:
| 期間 | 戦略 | リターン |
|---|---|---|
| 2018/10〜2021/04 | ATR×0.5(MLなし) | 約1700% |
| 2018/10〜2021/04 | ATR×0.5 + ML | 約1700% |
えっ、MLありとなしで変わらない...?
そう、バジルさんの検証でも指摘されているように、このチュートリアルの真の収益源は機械学習ではなく、ATR×0.5指値戦略そのものだった。
機械学習はトレード効率を上げる程度の効果しかなく、収益の源泉ではなかった。
🤔 なぜ当時誰も疑問視しなかったのか
1. 権威への盲信
「東大卒」「年収10億」という肩書きが、批判的思考を停止させた。
2. バックテスト結果が良すぎた
2018〜2021年の相場がたまたまこの戦略に向いていた。結果が良ければ誰も文句を言わない。
3. 便乗ビジネスの横行
チュートリアルを元にした「勝てるbot販売」が横行。売る側も買う側も、戦略の本質を深掘りするインセンティブがなかった。
4. 機械学習という「魔法」への幻想
「機械学習」と聞くだけで、なんかすごそう、と思ってしまう心理。実際のコードは既存のテクニカル指標を片っ端から入れただけなのに。
😱 公開後にrichmanbtcさん自身も負けた事実
衝撃的なのは、チュートリアル公開後、richmanbtcさん自身もこの戦略で負けているということ。
2022年末のnoteで「今年はマイナスです。多分数千万円くらい」と告白している。
巷では「勝てる手法を公開したから負けるようになった」と言われているが...
本当にそうだろうか?
俺の考えはシンプルだ:
そもそも相場環境に依存する弱い戦略だった。
2018〜2021年の相場環境が戦略にハマっていただけで、相場環境が変われば通用しなくなる。それだけの話だ。
📈 ATR×0.5戦略が勝てた理由
2018〜2021年の相場特性
この期間のビットコイン相場は:
- 上下に大きく振れるが、一定のレンジで推移する期間が多かった
- 急落後に反発する傾向が顕著だった
- ボラティリティが高いが、トレンドが長続きしなかった
つまり、逆張りが機能しやすい相場だった。
戦略の強み
- レンジ相場では「下で買って上で売る」が機能
- ATRで適応的に指値距離を調整
- 高頻度でトレード機会がある
⚠️ この戦略の致命的な弱点
しかし、この戦略には構造的な弱点がある:
1. トレンド相場で大損する
価格が一方向に動き続けると:
- 買い指値が次々と約定するが、価格はさらに下落
- 結果的にナンピン地獄に陥る
2. ハイボラ時に破綻する
急騰・急落時は:
- ATRが追いつかない
- 指値が浅すぎて焼かれる
3. 「平均回帰」は幻想
株式市場では平均回帰の統計的根拠があるが、仮想通貨市場では平均回帰は弱い。ニュースや大口の動きで一方向に動きやすい。
🎯 結論:MLBOTの正体
richmanbtc式MLBOTの正体は:
- MLは飾り(効果は限定的)
- 真の収益源はATR×0.5逆張り戦略
- 2018〜2021年の特殊な相場環境で勝てただけ
- 構造的にトレンド相場に弱い
次回は、この戦略の弱点を実データで検証していく。
参考リンク
次回予告:【第2回】ATR×0.5戦略の弱点を徹底検証〜ナンピン地獄の構造〜
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