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いまさらやるrichmanbtc式MLBOT【第1回】そもそも何だったのか?ATR×0.5戦略の正体

公開日: 2025/12/26

2021年、仮想通貨bot界に革命が起きた...はずだった

「日給300万円のSS級トレーダー」

この衝撃的なタイトルで一世を風靡したrichmanbtcさんの機械学習botチュートリアル。当時、仮想通貨botterの世界はこのチュートリアルで溢れかえった。

だれもがrichmanbtcさんのコードをコピペし、自分のbotを動かし始めた。「これで俺も億り人だ!」と夢見た人も多かったはず。

でも...ちょっと待ってほしい。

あのチュートリアル、そもそも何をやっていたのか、本当に理解していた人はどれくらいいただろうか?


😤 当時誰も言わなかった疑問

仮想通貨のシステムトレードといえば、代表的な戦略がある:

  • チャネルブレイクアウト(タートルズ流)
  • ドンチャンブレイクアウト
  • トレンドフォロー

これらは1980年代から実績のある、伝統的なトレード戦略だ。

ところがrichmanbtcチュートリアルの基本戦略は、これらとは真逆だった。

ATR×0.5の位置に指値を置く逆張り戦略。

「終値からATR×0.5下に買い指値、ATR×0.5上に売り指値」

...これ、どこから来た戦略なんだ?

当時、この疑問を公に投げかけた人を見たことがない。みんな「richmanbtcさんが言うんだから正しいはず」と盲信していた。


📊 ATR×0.5戦略の正体を解剖する

ロジックの詳細

Python
# richmanbtcチュートリアルの核心部分
limit_price_dist = df['ATR'] * 0.5
df['buy_price'] = df['close'] - limit_price_dist # 終値から下に指値
df['sell_price'] = df['close'] + limit_price_dist # 終値から上に指値

これが意味するのは:

  1. 価格が下がったら買う(逆張り)
  2. 価格が上がったら売る(逆張り)
  3. ATRでボラティリティに応じて距離を調整

つまり、「価格は平均に回帰する」という前提の戦略だ。

これは「マーケットメイク」戦略

実はこれ、機関投資家やマーケットメイカーが使う古典的な戦略に近い。

  • スプレッドの両側に注文を置く
  • 価格の振れで利鞘を取る
  • ボラティリティ(ATR)でリスク調整

問題は、これが個人投資家に適しているかどうかだ。


💰 驚愕のバックテスト結果

チュートリアルのバックテストを見ると:

期間戦略リターン
2018/10〜2021/04ATR×0.5(MLなし)約1700%
2018/10〜2021/04ATR×0.5 + ML約1700%

えっ、MLありとなしで変わらない...?

そう、バジルさんの検証でも指摘されているように、このチュートリアルの真の収益源は機械学習ではなく、ATR×0.5指値戦略そのものだった。

機械学習はトレード効率を上げる程度の効果しかなく、収益の源泉ではなかった。


🤔 なぜ当時誰も疑問視しなかったのか

1. 権威への盲信

「東大卒」「年収10億」という肩書きが、批判的思考を停止させた。

2. バックテスト結果が良すぎた

2018〜2021年の相場がたまたまこの戦略に向いていた。結果が良ければ誰も文句を言わない。

3. 便乗ビジネスの横行

チュートリアルを元にした「勝てるbot販売」が横行。売る側も買う側も、戦略の本質を深掘りするインセンティブがなかった。

4. 機械学習という「魔法」への幻想

「機械学習」と聞くだけで、なんかすごそう、と思ってしまう心理。実際のコードは既存のテクニカル指標を片っ端から入れただけなのに。


😱 公開後にrichmanbtcさん自身も負けた事実

衝撃的なのは、チュートリアル公開後、richmanbtcさん自身もこの戦略で負けているということ。

2022年末のnoteで「今年はマイナスです。多分数千万円くらい」と告白している。

巷では「勝てる手法を公開したから負けるようになった」と言われているが...

本当にそうだろうか?

俺の考えはシンプルだ:

そもそも相場環境に依存する弱い戦略だった。

2018〜2021年の相場環境が戦略にハマっていただけで、相場環境が変われば通用しなくなる。それだけの話だ。


📈 ATR×0.5戦略が勝てた理由

2018〜2021年の相場特性

この期間のビットコイン相場は:

  1. 上下に大きく振れるが、一定のレンジで推移する期間が多かった
  2. 急落後に反発する傾向が顕著だった
  3. ボラティリティが高いが、トレンドが長続きしなかった

つまり、逆張りが機能しやすい相場だった。

戦略の強み

  • レンジ相場では「下で買って上で売る」が機能
  • ATRで適応的に指値距離を調整
  • 高頻度でトレード機会がある

⚠️ この戦略の致命的な弱点

しかし、この戦略には構造的な弱点がある:

1. トレンド相場で大損する

価格が一方向に動き続けると:

  • 買い指値が次々と約定するが、価格はさらに下落
  • 結果的にナンピン地獄に陥る

2. ハイボラ時に破綻する

急騰・急落時は:

  • ATRが追いつかない
  • 指値が浅すぎて焼かれる

3. 「平均回帰」は幻想

株式市場では平均回帰の統計的根拠があるが、仮想通貨市場では平均回帰は弱い。ニュースや大口の動きで一方向に動きやすい。


🎯 結論:MLBOTの正体

richmanbtc式MLBOTの正体は:

  1. MLは飾り(効果は限定的)
  2. 真の収益源はATR×0.5逆張り戦略
  3. 2018〜2021年の特殊な相場環境で勝てただけ
  4. 構造的にトレンド相場に弱い

次回は、この戦略の弱点を実データで検証していく。


参考リンク


次回予告:【第2回】ATR×0.5戦略の弱点を徹底検証〜ナンピン地獄の構造〜

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