タートルズ「55日利益後スキップ」と「EMA25/350フィルター」は本当に効くのか?〜読者リクエスト検証〜
読者リクエストに応えて
前回のタートルズ検証記事に対して、読者の方からリクエストをいただきました:
55日のシステムで利益が出たあと、20日のシステムは1度無視されるフィルターが存在する話があります。 また、タートルズのメンバーが日足EMA25、350の位置関係で騙しを減らす、といった改良を行ったとのことです。
これは興味深い!早速検証してみましょう。
検証内容
フィルター1: 55日利益後スキップ
タートルズには2つのシステムがありました:
| システム | エントリー | 決済 |
|---|---|---|
| System1 | 20日ブレイク | 10日ブレイク |
| System2 | 55日ブレイク | 20日ブレイク |
「55日システムで利益が出たら、次の20日シグナルを1回スキップ」 というルールです。
理由として考えられるのは:
- System2で大きなトレンドを捕まえた後、すぐにSystem1でエントリーするとトレンドの終盤で捕まるリスクがある
- 利益確定後は相場が一服することが多い
フィルター2: EMA25/350トレンドフィルター
タートルズのメンバー(カーティス・フェイス氏など)が後に導入したとされるフィルター:
- EMA25 > EMA350: ロングのみエントリー
- EMA25 < EMA350: ショートのみエントリー
長期トレンドに逆らうエントリーを排除して、騙しを減らす狙いです。
バックテスト結果
検証条件:
- 通貨ペア: ドル円
- 期間: 約10年(2015年12月〜2025年12月)
- 時間足: 日足
- ストップロス: 2ATR
総合比較
| 戦略 | トレード数 | 勝率 | 累積リターン | PF | 最大DD |
|---|---|---|---|---|---|
| ① オリジナル S1 | 106 | 37.7% | +24.5% | 1.32 | -15.8% |
| ② オリジナル S2 | 44 | 40.9% | +22.3% | 1.69 | -7.2% |
| ③ S2利益後スキップ | 94 | 37.2% | +20.3% | 1.27 | -12.9% |
| ④ EMA S1 | 52 | 44.2% | +18.2% | 1.68 | -9.9% |
| ⑤ EMA S2 | 31 | 35.5% | +4.6% | 1.18 | -7.3% |
| ⑥ 両フィルター併用 | 42 | 42.9% | +12.7% | 1.49 | -8.4% |
衝撃の結果:フィルターは逆効果だった
55日利益後スキップ → マイナス26.5%
オリジナル合計: +24.5% + +22.3% = +46.8%
スキップフィルター適用: +20.3%
効果: −26.5%ポイント悪化
これは予想外でした。理論的には合理的に見えるフィルターですが、実際のデータでは逆効果でした。
考えられる理由:
- ドル円はトレンドが継続しやすい通貨ペア
- System2で利益が出た後も、同方向のトレンドが続くケースが多い
- スキップすることで、トレンドの延長部分を取り逃している
EMA25/350フィルター → PF改善だがリターン減少
System1への適用:
- リターン: +24.5% → +18.2%(-6.2%)
- PF: 1.32 → 1.68(+27%改善)
- トレード数: 106 → 52(半減)
System2への適用:
- リターン: +22.3% → +4.6%(-17.7%)
- PF: 1.69 → 1.18(-30%悪化)
- トレード数: 44 → 31
EMAフィルターはトレード数を大幅に減らすため、結果的にリターンが減少しています。
特にSystem2では、元々のPFが高かったため、フィルターで逆に悪化しました。
年別パフォーマンス
年別に見ると、どの戦略も2022年のドル円急騰で大きく利益を出していますが、フィルターを適用した戦略はその恩恵を取りこぼしているケースが目立ちます。
なぜフィルターが逆効果だったのか
1. ドル円の特性
ドル円は日米金利差という明確なファンダメンタルズに支配されています。
- 2022〜2024年のドル高トレンドは、金利差拡大によるもの
- トレンドが長期継続しやすい
- 「トレンドの終盤で捕まるリスク」より「トレンドを取り逃すリスク」の方が大きかった
2. EMA350は遅すぎる
EMA350は約1年半分のデータを使用します。
- トレンドの転換を認識するのが遅い
- フィルターが機能し始める頃には、トレンドの大部分が終わっている
- 結果として「取れるはずのトレンド」を見送ってしまう
3. オーバーフィッティングの可能性
タートルズのメンバーがEMAフィルターを導入したのは、過去のデータで検証した結果かもしれません。
しかし:
- 検証期間が違う
- 通貨ペアが違う(元々は商品先物)
- 市場環境が違う
1つの市場・期間で最適化されたフィルターが、別の市場・期間で機能するとは限らないのです。
最適な戦略は?
今回の検証結果から:
リターン重視なら
オリジナルSystem1(20-10)がベスト
- 累積リターン: +24.5%
- トレード数: 106回(十分なサンプル)
- フィルターなしが最強
リスク調整リターン重視なら
オリジナルSystem2(55-20)がベスト
- PF: 1.69(最高)
- 最大DD: -7.2%(最小)
- 勝率: 40.9%(最高)
教訓:フィルターは万能ではない
今回の検証で分かったこと:
- 理論的に合理的なフィルターが、実際のデータで機能するとは限らない
- フィルターを追加するとトレード数が減り、機会損失が発生する
- シンプルなオリジナルルールが最強の場合もある
- 市場・期間によって最適なルールは異なる
タートルズのリチャード・デニスは言いました:
「ルールはシンプルであるべきだ。複雑なルールは過去に最適化されすぎている」
今回の検証結果は、まさにこの言葉を裏付けるものでした。
まとめ
| フィルター | 結果 | 理由 |
|---|---|---|
| 55日利益後スキップ | ❌ 逆効果 | トレンド継続を取り逃す |
| EMA25/350 (S1) | △ 微妙 | PF改善だがリターン減少 |
| EMA25/350 (S2) | ❌ 悪化 | 元々高いPFが逆に低下 |
| 両フィルター併用 | ❌ 悪化 | 機会損失が大きい |
結論: ドル円日足においては、オリジナルのタートルズルールがベスト
フィルターを追加すれば良いというものではありません。
シンプル・イズ・ベストです。
補足:他の通貨ペアでは?
今回はドル円のみの検証でした。
ユーロドルやポンドドルなど、他の通貨ペアでは結果が異なる可能性があります。リクエストがあれば追加検証します!
※この記事は読者リクエストに基づいて作成しました。検証してほしい手法があれば、お気軽にリクエストください!
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