⏰「買わなきゃいけない人」の時刻表。月末のロンドン16時はドル円が普段の1.77倍、NY引けはナスダック1.49倍動いた。でもSQは何も起きなかった
🧭 この記事は「需要」シリーズの1本です。5本の結論はまとめ記事で読めます。
🗓️ 需要には「時刻表」がある
前々回は「チャートは需要の結果」、前回は「節目が効くのは損切りがたまる値段だけ」という話をしました。
今回はその続きです。
需要には2種類あります。
| 欲しい需要 | 買わなきゃいけない需要 | |
|---|---|---|
| 例 | AIブーム、テーマ株 | 輸入代金の支払い、年金や投資信託の月末の調整、損切り |
| いつ来るか | 読めない | 日付と時刻が決まっている |
| 値段を気にするか | 気にする | 気にしない(その時刻に必ず執行) |
右側は、来る時刻が決まっています。それなら その時刻だけ、値段がよく動いて、取引量も増えるはず です。
お弁当屋さんで言えば、「12時に行列ができる」のは毎日決まっている。その時刻表を作ってみました。
🧪 確かめ方
- データ:Exnessの5分足、2021年7月〜2026年7月(ドル円・ユーロドル・ナスダック100・ダウ)
- 測るもの:決まった時刻の 10分間の値幅(高値−安値)と ティック数(値段が更新された回数=取引の活発さの目安)
- 比べ方:需要が来る日 と それ以外の平日 の中央値を比べる
- 確認用:同じ日の 別の時刻(14時など) も測る。もし「その日は一日中荒れていただけ」なら、別の時刻でも差が出るはず
📊 結果
| 需要 | 誰が買う(売る)か | 時刻 | 値幅 | ティック数 | 同じ日の別の時刻 |
|---|---|---|---|---|---|
| 月末のロンドン16時(ドル円) | 世界の年金・投資信託の為替調整 | 15:55〜16:05 ロンドン | 1.77倍(18.8 vs 10.6pips) | 2.33倍 | 14時:0.96倍 |
| 月末のロンドン16時(ユーロドル) | 同上 | 同上 | 1.54倍(11.7 vs 7.6pips) | 1.92倍 | 14時:1.08倍 |
| 月末のNY引け(ナスダック) | 指数に連動する投資信託・年金の調整 | 15:50〜16:00 NY | 1.49倍(57.5 vs 38.6pt) | 1.22倍 | 14時:1.16倍 |
| 月末のNY引け(ダウ) | 同上 | 同上 | 1.40倍(93.3 vs 66.7pt) | 1.30倍 | 14時:1.07倍 |
| ゴトー日の東京仲値(ドル円) | 輸入企業のドル買い | 9:50〜10:00 東京 | 1.13倍(14.1 vs 12.5pips) | 1.22倍 | 14時:1.00倍 |
| 四半期SQ(ナスダック) | 先物・オプションの決済 | NY引け | 1.07倍(差なし) | 1.11倍 | - |
需要が来る10分間だけ、値段がよく動いて、取引も増えています。 同じ日でも14時は普段どおり。「その日が荒れていた」のではなく、その時刻に人が来ていた んです。
📅 毎年起きているか
値幅の倍率を年ごとに出しました。
| 需要 | 2021(7月〜) | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026(〜7月) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月末ロンドン16時(ドル円) | 2.52 | 1.81 | 1.87 | 1.78 | 1.19 | 2.55 |
| 月末ロンドン16時(ユーロドル) | 2.30 | 1.95 | 1.49 | 1.50 | 1.50 | 1.33 |
| 月末NY引け(ナスダック) | 1.63 | 1.49 | 1.78 | 2.50 | 1.49 | 1.52 |
| 月末NY引け(ダウ) | 1.65 | 1.42 | 1.53 | 1.45 | 1.44 | 1.39 |
| ゴトー日の仲値(ドル円) | 1.15 | 1.14 | 1.15 | 1.05 | 1.06 | 1.23 |
全部、毎年1倍を超えています。 月末の引けは、どの年も1.4倍以上でした。
ゴトー日の仲値は1.13倍と小さく見えますが、そもそも9:50〜9:55の5分足は、東京時間(8〜16時)で 一番よく動く5分間 です(ふつうの平日でも)。その上にさらに1割強が乗っています。
😮 SQでは何も起きなかった
「SQ(先物・オプションの決済日)は荒れる」とよく言われます。でも測ってみると、
| ナスダック | 値幅の倍率 |
|---|---|
| 四半期SQ(3・6・9・12月の第3金曜)の引け | 1.07倍 |
| 毎月のSQ(それ以外の月の第3金曜)の引け | 0.82倍 |
| 四半期SQの寄り付き(9:30〜9:40) | 1.03倍 |
引けでも寄り付きでも、差は出ませんでした。 米国の指数オプションの多くは寄り付きの値段で決済されるので、寄り付きも見ましたが同じです。
理由はたぶん、SQの売買は 買いと売りが打ち消し合いやすい からです。決済する人は両側にいるので、偏りが出にくい。一方、月末の調整は「株が上がった月は、みんなで株を売って債券を買う」のように 同じ向きにそろう。
節目の記事でも書いたとおり、値段が動くのは需要があるときではなく、需要が片側に偏ったとき です。
ダウの四半期SQの引けだけは1.25倍と少し大きめでしたが、5年で19回しかなく、偶然と区別できる差ではありません(ナスダックは1.07倍)。なので「SQは絶対に効かない」とまでは言えません。
⚠️ 注意
- ゴトー日は日本の祝日を考えていません。 土日だけ前の営業日にずらしています
- ティック数は、ブローカーの値段が更新された回数で、実際の取引量そのものではありません
- 「よく動く」は「どっちに動く」とは別の話です。今回は 向きは測っていません。月末の向きは、その月に株と為替がどう動いたかで毎月変わります
🎉 まとめ:時刻表を持っている人は強い
- 値段に関係なく必ず売買する人が来る時刻は、決まっている
- 月末のロンドン16時とNY引けは、毎年1.4〜1.8倍動く。同じ日の別の時刻は普段どおり
- 需要があっても、買いと売りが打ち消し合うと動かない(SQ)
チャートを見て「なんか急に動いた」と思ったとき、時計を見てみてください。月末の16時だったり、9:55だったりするはずです。
動いた理由は、チャートの中ではなく、時刻表の中にあります。 あなたの時刻表を、今日から一つずつ作っていきましょう💪
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